平成29年1月1日からスタートした、セルフメディケーション税制。平成30年6月30日で、1年半が経過しました。
多くのドラッグストアで、陳列棚の値札に“セルフメディケーション税制対象品目”のマークが表示され、レジの横にも税制の説明POPを表示し、薬剤師や登録販売者を中心に患者さんに制度を理解してもらう取り組みもだいぶ進んできました。
セルフメディケーション税制には温度差が
しかしながら、そうした取り組みに熱心でないドラッグストアもあり、かなりの差が生じているなと感じます。
また、薬局においてはなおさらで、OTCをあまり取り扱っていない多くの薬局で、取り組みとしてほとんどと言っていいほど、進んでいないという事が実感されます。
ドラッグストアも例外では無いのですが、個人的な印象としては、そもそも薬局・薬店に勤めているどれだけの薬剤師・登録販売者がこの制度を理解しているのか?という事すら考えさせられます。
確定申告をしなければ税制優遇されないという患者さんの立場にたって考えても、今の所、この税制優遇がどうもイマイチな状況になってしまっている状態です。
この「セルフメディケーション税制」ですが、平成33年12月31日までの時限立法(法令の有効期間を定めない恒久法に対し、有効期間を定めて立法された法令)で、それ以後継続して制度として続くのかは、この5年間での実効性があったかどうかによって決まってきます。
セルフメディケーション税制に対する製薬企業の思い
このセルフメディケーション税制、もちろん根本には医療費削減をすすめるという国の方針がありますが、一番取り組みを進めたいのがOTCを扱う製薬企業です。これは商機なのです。税制優遇という武器を活かし、OTC販売の売り上げを大きく伸ばす事ができる、悲願の制度です。
なんでも税制優遇されるようなものは、それが一時的なものである程、一大商機となります。ここ数年の間でも、税制では無いものの環境省による家電エコポイント制度(2009年5月15日~2011年3月31日)、エコカー減税、住宅ローン減税などが景気刺激策として導入されてきました。
この恩恵を受ける消費者とそれを提供する企業側双方にメリットがあります。企業側の取り組みとしては、例えばエコカー減税の時は「こども店長」などのアピールもあったことは記憶に残るところです。
さて、しかしながらこのセルフメディケーション減税、制度導入時に比べると、企業自体もその取り組みにやや熱心さが失われつつように感じています。そもそも、CM等で大々的に訴求しているかというと、制度自体の分かりにくさからか周知しきれていません。
いまではいささかドラッグストア頼みになっている感すらあります。税制の分かりづらさという部分、これは製薬企業としては最も頭の痛いところで、現状ではいかに薬局・薬店に頑張ってもらうかというところに依存せざるをえない状況となっています。
5年間の時限立法、つまり試験導入されているセルフメディケーション税制、今後につなげられるかどうか試されている最中です。
薬剤師が後発品の推進により医療費削減に取り組む事と同じ意味として、OTC販売にも注力(ドラッグストアは言うまでも無いのですが)する必要があります。
企業としては、税制理解の問題だけではなく、現状では対象品目の少なさゆえ利用率が低いという障壁もあり、今後スイッチOTCがいかに進められるかというところ。
また制度の対処品目を拡大できるかという所が焦点であり、またそこに企業としても身をゆだねざるを得ない状況です。
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