私自身も薬剤師として、定期的に災害を想定した訓練にも参加をしていますが、訓練だけではどうにもならない事も多いのもまた事実ですね。
トリアージについて、動画も交えて解説していきます。
トリアージの前に医療救護所を把握しよう
各自治体では、災害時に緊急医療救護所が設置されます。医療救護所では、医師、薬剤師、柔道整復師、看護師、自治体職員などが対応を行います。
ホームページなどで広報されていますが、正直な所、自治体によって取り組みの温度差が大きいところです。
医療救護所については、各自治体でどこに設置されるのか、日ごろから確認しておきましょう。
- 病院
- 中学校
- 小学校
がおもな場所で、重症者は病院に搬送されることになります。災害時の避難所とは別の事もあるので、注意が必要です。
覚えておきたい「トリアージ」
「トリアージ」と言われて「?」では、薬剤師として寂しい限りですから、ざっくり言いますと下記です。
【トリアージ】医師が傷病者を、軽傷者から重症者まで判断し、それぞれ適切な医療救護所へ振り分ける事
この判断は医師が行うところですが、もちろん薬剤師を含め、医療従事者も協力してその対応にあたらなくてはなりません。
なぜこのトリアージを行うかと言うと、甚大な災害の場合、多くの負傷者が発生します。
その中で、軽傷者まで大きな病院へ搬送されてしまうと、当然のことながら病院の収容人数がパンクしてしまい、治療に急を要する患者さんへの対応が遅れてしまうからです。
ちなみにですが、トリアージについて理解を深めるなら以下の本がおすすめです。DVD付きなので、医療者にとって、イメージがつきやすいです。私もこれで一度ざっと勉強しています。
※本をおすすめしたのは、正直言いまして、ネットで検索レベルの情報ではトリアージの理解ができないため。
職場に1冊でいいので、永久保存版として揃えておいて下さい。(ただ、ざっくりと知りたい方のために、START法についてはこの記事下に動画を付けておきます)
さて、もちろん、ある程度の軽傷の場合でも、それを負った本人にとっては「大きな病院で診てほしい」という気持ちはあるでしょう。
しかし、重症者がより重篤、つまり早期の治療で命を救えたかもしれないのに、多くの軽傷者の治療のために治療が遅れてしまう事を防ぐために、このトリアージは欠かす事のできないものなのです。
START式トリアージとは?
トリアージにはいくつかの方法がありますが、一般的に用いられるのが「START式トリアージ」と呼ばれるものです。
- 歩行可能か
- 呼吸をしているか
- 呼吸数はどれくらいか
- 脈拍は適切か
- 反応(指示)に応じるか
以上のような判断基準によって患者を振り分けていきます。
「トリアージ」と言われて「それってなんですか?」とならないように、医療救護所ではまず以下のように
- 軽傷
- 中等症
- 重症
- 死亡
と判断し、それぞれが適切な場所で、適切な治療が行われるようにする、という事を理解しておいてください。
例えば軽傷者は、避難場所が中学校であればそこに設置された医療救護所において『災害用処方箋』にもとづき、医師の処方から薬剤師が調剤を行い、対応していく事になります。
※当然街にある薬局で調剤を行う訳ではありませんので、備蓄されている医療用医薬品等を用いて調剤を行います。
また、こういう場合にはOTCでの対応という事の方が多くなる可能性が高くなるので、OTCの知識という事も欠かすことができません。
医療従事者として出来る事
災害に見舞われたその地にいるのであれば、そもそも自分の家族の安否や対応に追われることになります。家族を二の次にして、このような業務にあたる事はできる事は難しいでしょう。
また、災害時にやるべき事は多くあります。薬剤師としての活動よりも、場合によっては力仕事や炊事などが優先される事が多いかもしれません。
ただ「災害時には薬剤師としての職能が必要とされている」という事は、他人事とせずに意識をもつ必要があります。
普段いくら、在宅頑張ってます、〇〇専門薬剤師です、健康サポート薬局で働いています、などと掲げていても、こういった場面では何の役にも立たないのです。
自分自身そういったことができるのか?という事を自問自答ながら、あらためて記事にして触れてみましたが、「トリアージ」という言葉だけでも、覚えてくださればありがたいと思います。