乳児用液体ミルクが解禁されました。そもそもミルクって食品なのに「解禁」というのはどういう事かと、薬局スタッフからも素朴な疑問として聞かれました~。
粉ミルクを含め、その製品の性質についておさらいとともに、さらに探っていくと、案外と根深くて複雑な事情もかいま見えてくる事がわかります。
薬剤師としては無駄な知識かもしれませんが、頭の片隅にはいれておきたいですね。
※この記事は平成30年11月に記載した内容を修正したものです。
乳児用ミルクは「特別用途食品」
特別用途食品とは
乳児用粉ミルクは「乳児用調整粉乳」として特別用途食品の許可を受けたものです。「特別用途食品」あまり一般的には馴染みがない言葉ですが、その商品は多くの薬局やドラッグストアで取り扱っているものです。
当然、薬剤師だって手に取る機会がありますよね。
特別用途食品とは、健康増進法に基づくものであって、乳幼児、妊産婦そして病者、嚥下困難者の発育、健康の保持・回復のために適した食品として消費者庁の許可を受けたものです。
ここまで記載すればすでに、薬剤師であればどういった商品が該当するのか、ある程度想像がつくのではないでしょうか??
【特別用途食品】
①乳幼児用調整粉乳→いわゆる粉ミルク。今回、ここに乳児用液体ミルクが追加される事となりました。
②妊産婦、授乳婦用粉乳→葉酸・鉄分・カルシウムなど強化して栄養を補います
③病者用食品→低アレルゲンや低たんぱく質、無乳糖の食品の他、総合栄養食品が該当します
④えん下困難者用食品→食品とともに、とろみ調製用食品も
※特別用途食品にあたらなくても、そういった用途で用いられる製品は数多くあります。
乳幼児用ミルクは許可が必要
特別用途食品の許可を得ていなくても、例えば授乳婦向けの栄養剤など多くあるため、この許可の必要性はあまりないものとなります。しかしながら乳幼児用ミルクはその性質上、この許可が必要です。現在は8製品いずれも粉か固形状で、液体のものはありません。
許可日の古い順に、明治ほほえみ、明治ほほえみらくらくキューブ、ビーンスタークすこやかM1、森永はぐくみ、森永Eあかちゃん、アイクレオのバランスミルク、雪印メグミルクぴゅあ、和光堂レーベンスミルクはいはい。
粉ミルク自体は日本で約100年前から作られていますが、最初に許可された明治ほほえみの許可は平成24年。特別用途の表示が制定されたのは平成21年。和光堂はいはいの許可は平成28年。つまりは法律が後からできた、という事になります。
ちなみにフォローアップミルクは、乳児用ではないので、この特別用途食品にあたりません。う~ん、なにか色々複雑ですね。乳児とは児童福祉法その他法令によって、1歳未満を差します。
1歳の誕生日を迎えた瞬間に“法的に”乳児ではなくなるという訳です。あくまで法的にです。
特別用途食品に追加された乳児用液体ミルク
そんなわけで、少なくとも粉ミルクについては法制度があとからついてきたという部分があるものの、現在の特別用途食品の区分では「乳児用調整粉乳」のみで、液体ミルクについてはこの規制範囲外のものでした。
乳児用規格適用
う~ん、そうすると、そもそも昔から液体ミルクをメーカーが作っていれば、自然とこの範疇に入っていたのではないかと思いますが、これまたややこしいところで、厚労省が音頭を取り、平成24年から「乳児用規格適用」という基準が設けられました。
そのため、技術進歩によって液体ミルクを製造したとしても、これまでは単なる“乳飲料”扱いとなってしまい、乳児用だよ、という表示ができなくなってしまっていたのです。
技術進歩があっても液体ミルクが無かった理由
粉ミルクの調製は大変なのに
以前から一定のニーズがあった、液体ミルク。今はまだ海外製品のみしかありません。粉ミルクを作るわずらわしさといったら、まぁ大変なものです。
母乳で育てられる状況だとしても、初期の頃は赤ちゃんが飲んでいる量も分からないので、粉ミルクも併用する必要があります。
夜中の調製は言うに及ばず、非常に手間のかかる容器の消毒(レンジでチンも楽そうですが頻回は相当な手間です)、外出先ではお湯も必要です。
ただ親としても、そういった苦労は数年で卒業してしまうため、継続的かつ積極的な当事者の「声」として、なかなか取り上げられて、また挙げられてこなかった事も事実です。
メーカーの苦悩
少子化、つまり赤ちゃんが減っていて商品売り上げが伸びない中、メーカーは新たな製造ラインを設ける事を進んで行えるでしょうか。
安価に大量生産する事のできる粉ミルクと違い、液体ミルクはかなり高価なものとなるはずです。その運送費用だけでもそういった想像は難くありません。
(ちなみにアメリカだと200nlで約200円程度です、高いですね。)
継続して使用してもらってこそ成り立つ製品。しかしながら、今回の液体ミルクの解禁については「災害時に役立つ」という、日常使用がほとんど考慮されていないように感じます。
災害時や、外出時のみ、つまりサポート的な存在として扱われ、継続的にはおそらく購入してもらえないという、とっても大きな課題をクリアする必要があるのです。
薬局として薬剤師としてできること
日本保険薬局協会の定例会見(2018年8月9日)の中で、保険薬局として積極的に液体ミルクの普及啓発に努めていく必要性が示されました。それは共感できることです。
しかしながらその中で「液体ミルクは、災害時などに非常に効果を発揮する」(首藤正一副会長)という言葉。う~ん、そんなの誰でも分かっているし、本質的な部分が抜け落ちてないでしょうか。
何か保険薬局としての対外的なアピールにしか聞こえないなという感じです。
もっとも、実際薬剤師ができる事は限られている事も事実です。産婦人科医や看護師、保育士、栄養士そういった方が中心となって、まずは液体ミルクの利便性を伝えていくのかなと思いますし、育児の情報を親が取得する手段は、インターネット上の情報からがもっとも多いのです。
とはいえ、薬局・ドラッグストアでも販売していくという事。これは間違いない事実です。もし店頭で質問されたら、的確にこたえられる事が大切。
そういった知識習得だけは欠かさないようにしていかなくてはいけません。なぜなら、液体ミルクに関する知識はインターネット上を探しても「過去には存在しない」情報だからです。
そういった知識の習得こそが、少なくともネット上に情報が満たされるまでは、私達薬剤師が出来るたった1つの事なのでは無いでしょうかね~。
追記
平成30年11月、ようやくグリコが手をあげました!
日経新聞電子版≫≫≫「液体ミルク解禁 グリコが先陣、大手は慎重」
大手は慎重って、、、横並びでやろうよ!
2024年現在、「将来を考えると不安・環境を変えたい」そう感じていても、実際どうすればいいか分からない薬剤師は意外と多いもの。
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