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かかりつけ医の将来から考える、かかりつけ薬剤師の必要性

かかりつけ、っていう言葉、どういう意味なのか調べようと思い「かかりつけ」で検索してみると、かかりつけ医について、ずらずらっと出てきました。

少しだけ薬剤師も出てきましたが、それはここ数年で生まれた言葉なので仕方ないのかと思いきや、そうではなく、国語辞典では「かかりつけ」は医師に掛かる枕詞のようです。
つまり「かかりつけ薬剤師」は造語という事になります。(それが制度化されるのは不思議だ)

それはさておき、自分自身幾つかの要件を満たしかかりつけ薬剤師として働いていると、その必要性も認識することができますし、自分自身がそうであるからには、その制度自体にあまり疑問に感じることもありませんでした。

ただいずれ自分が患者となった時に、かかりつけ医、そしてかかりつけ薬剤師が本当に必要なのか、(できたばかりの)制度そのもの、大いに考えさせられる事がある気がしてなりません。

かかりつけ医の必要性

「かかりつけ医」の必要性は主に4点、日本医師会のHPであげられています。

  1. 日頃からの受診で、患者さんの体調把握をしている
  2. 体調に関してなんでも相談、そして医療が施せる
  3. 必要に応じて専門の医療機関を紹介する
  4. かかりつけ医により、誤った自己判断を防ぐ事ができる

というところで、まぁ薬剤師としてはすでに認識している部分かなと思います。

国の指針では開業医の専門性が全く考慮されていない

厚労省が策定した指針では、将来的に「総合的な診療を行う事ができるかかりつけ医」を求める事としています。しかし本来、開業医というものは、特定の医学的な専門性に基づいて医療提供を行っていたはずでした。

総合的な診療を一人の医師が担う事

むしろ総合的どころか、あるクリニックが一人の医師であるにも関わらず「内科・循環器科・整形外科・精神科・皮膚科」などと幾つも標榜していれば、「浅く手広くやっているのだな」とすら思え、ちょっと胡散臭さすら感じたものです。

しかし国の施策によって、医師の専門性が損なわれるという問題は、かえって身近で適切な専門診療が受けられなくなるという、大きな矛盾をはらんでいます。

ただでさえ医師の過労問題が大きくなっている中で、今後は一人の医師にそんな複数の領域を担ってもらう、などという事は無理な話なのです。

なぜかかかりつけ医に在宅医療は考慮されていない

またこれは現在の医師側の問題ですが、薬剤師であれば「かかりつけ」に在宅が入ってくるものの、かかりつけ医には入っていません。終末期医療の難しさという観点からすると、これは「必要に応じて専門の医療機関」を任せるという事なのでしょうか。

逆にそこまで診てくれる医師であれば、かかりつけ医として安心な医療を受ける事ができるはずですが、それは酷い話です。

もちろん、例えば午前中は外来診療、午後は在宅診療をされている精力的な医師もいますが、そこまで行っている医師は極めて少ないというのが現実です。

体力的に厳しいですし、在宅はもうかりません。診療報酬が手薄いという事は、その事業の継続を困難にする最大の要因です。薬局も同じです。それはおかしいと、理想だけ掲げるのは、力なき正義と同じです。

保険診療でもお金持ちが手厚い診療を受ける事ができるという事

最近では「風邪をひいてしまったから近くの大学病院に行こう」なんていう患者さんはめっきり減りました。

どれほど解消されているかの数字はありませんが、3時間待って3分診療で待ってる間に却って体調が悪くなった、なんていう事も普通であった時代からすれば、本当に大きな病院で診療する必要のある患者さんが診察を受けやすくなった事は、大きな改善と言っていいでしょう。

もっともこれは、かかりつけ医が普及したからというわけではなく、紹介状なしでの初診料が国の施策で年々高額になっているという事が大きな要因である事は間違いありません。

平成30年4月の診療報酬改定による初診料の見直し

病院の初診料のいま

平成30年4月の診療報酬改定によって、さらなる初診料の増額(見直し)が行われました。
“許可病床 400 床以上の地域医療支援病院”に該当する場合、初診時に紹介状がないと、診療科が医科の場合は初診時定額5,000円(税別)、診療科が歯科の場合は初診時定額3,000円(税別)の徴収となります。

これではいくら患者さんが重症と感じた所で、急性期の場合は大病院に掛かる事を躊躇せざるを得ないのです。
・・そう、お金持ちを除いて。

ソフトバンクオンラインショッププ

そう、お金持ちであれば、自由に病院を選び、手厚い保険診療を受ける事ができるのです。

一般市民にとって初診料の5,000円はとても敷居が高いものですが、5,000円なんて大した金額ではない裕福な層にとっては、むしろ大きな病院が空いてありがたい状況となっているわけです。

保険診療にも生まれる差別化

つまり、保険診療という均質化された世界の中に、単に経済的な理由によって、大きな差別化が生じてしまう事になりました。

そしてそれが意味する事は、いわゆるセカンドオピニオン、サードオピニオンという事もまた大きく阻害してしまっている状況なのです。

過去、大きな病院をはしごする患者さんが多かった事はとても大きな問題でした。しかしその解決策が、結果としてお金持ち優遇政策となってしまっているという事は、適切な医療を受けられる事を阻害しているのでは無いかとさえ感じます。

ICT化によりかかりつけの必要性はなくなる

ICT(Information and Communication Technology)「情報通信技術」の利用により、患者情報の一元化の検討が行われていますが、近い将来、医療全般に導入される事は間違いありません。

現在ICTは、表面上では在宅医療分野で多職種での利用が全面に押し出されていますが、そうなった時に、どこでも共有できる情報、それをどう考えるか。

つまり、かかりつけ医が“その患者さんの事をよく把握している”必要は、まったく無くなります。

初診料の高さから大学病院をはしごする事は無いかもしれませんが、近所のクリニックを転々とする事には支障がなくなる事は間違いありません。そうすると、総合的な診察ができる医師の必要性も無くなります。

そう、かかりつけ薬剤師については、言うまでもありません。

会社経営者と従業員が違う方向を向いて働いていれば、そんな会社の行く末は目に見えています。

いろいろな矛盾を抱えながらも、国と医療関係者が同じ方向を向かされて働かざるを得ない今、そして未来は、日々刻々と変化していくIT技術の進歩を抜きにしては、考える事ができなくなったようです。

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