「今度の日曜日は研修。ほとんど強制なのに業務扱いにならない、これっておかしくない!?」
ネットでたまに見かける書き込みです。こういうのを見ると「研修はいいとしても、業務としないのはブラック過ぎるでしょ」と感じてしまう人も多いはず。
「薬剤師は一生自己研鑽が必要」確かにそういう考えもあるし、それは否定はしないです。
研修会を、薬局や病院が主催してくれるのであれば、(質は分からないものの)定期的な研修機会に「強制的にでも」触れておく事は、結果としてはあなた自身のためになっているはずですよね。
ただ強制的な研修(断れない雰囲気)を、業務としないのはアウト。「自己研鑽」という名のもとに、一種のやりがい搾取的なものを感じてしまいます。
こういう薬局・病院では、以下のような「考え方」で支配させます。
それは、「休みの日に研修なんか嫌だ」→「そんな考えで、薬剤師として将来大丈夫?」と感じさせてしまうような雰囲気、そうした環境こそブラック企業の典型だからです。
薬剤師として勉強が大切だという考え、それを逆手にとった「よくない風土」と言えます。
休日の勉強会を無給でも我慢出来るのは新人だけ
薬局や病院として、どうして休日の勉強会を「自主的」なものとして「お給料を払わないか」というと、経営的な側面からお金を払うのが惜しいからに他なりません。
(やりがい・勉強と言う名のもとに、参加の自主性を強調させる)
なんともせこいですし、半強制的な研修会なら「賃金未払い」で、働く上での条件を満たしていません※労働基準法第32条
搾取出来るのは若手だけ
まだ新人薬剤師だったら「勉強は大切だ」「休みの日でも勉強」といった考えでも通用するかもしれません。なぜなら新人だと、社会の常識なんていうものは知らないからです。
新人薬剤師の場合、休みの日に強制的に勉強会をしたって、「社会人だとそういうものなのかな」とすら思うはずです。だって学生の時までは「学費というお金を払って勉強していた」んですから。
何なら、お金を貰って勉強する事に対して「おかしい」とは思ってしまうかもしれないし、お給料が出なくても、不思議に思わないかもしれません。
でも2年目、3年目になるにつれて。そして他の状況――自分の薬局・病院以外では研修でもお給料が出るみたいだ――という事に気づき、初めて「おかしいかも、納得出来ない」となってくるのです。
これに関連する事として、管理薬剤師の高度医療機器の研修であったり、調剤報酬改定関連、管理薬剤師研修など、「薬局などから出席を指示」されるようなものは、業務扱いとならないと変ですね。
どうして休日の薬剤師研修で「無給」はブラックと言えるか?
これは「出席が半強制かどうか」で判断される事なんですが、もしアンケート方式で「出席しますか?欠席ですか?」であれば、任意参加と言えます。
しかし、特別な用事がなければ基本的に薬剤師は全員参加すること。大切な研修だ。という名のもとに開催される研修であれば、これは会社指示のもとであると解釈出来、労働基準法上は、業務扱いとなります。
※あくまで参加は任意で、出欠はどちらでも良いというのがポイント
だいたいコンプライアンスがしっかりしている会社であれば、休日の研修だってしっかり業務扱いです。私が働く薬局だって、もちろんそうです。
そもそも研修の質が悪い!
休日の研修を「お給料が出ない」形で行うようや薬局・病院には、少し共通点があって、それは研修の質が大したこと無いです。
ひどい所だと、社内の講師を使って研修を行い、さらにお金を掛けないはず。聞いたことあるような研修、本で調べればすぐ書いてある事を休日を使って勉強する意味合いって何でしょうか?時間が無駄過ぎます。
本来ならば休日に集合研修するのであれば、外部講師を招いてしっかりした時間を過ごしたいものですよね。
そういう所がほとんどだと思いますが、中には「休みに無給で呼び出されるのに、社内のつまらない講師だった。寝てた。」という事もよくあるのです。
薬剤師は研修が大切?自己研鑽とのはざま
今、新卒薬剤師が就職先を選ぶ際、「研修が充実している薬局」である事を重要なファクターとしているケースが多いです。でもその一方で、「薬剤師は自己学習が大切」とも言われます。
これはどちらも正しく、どちらも間違っています。
私がこれまで多くの薬剤師を採用したり、あるいは一緒に働いて感じている事があります。それは、結局は「自分自身が合った職場かどうか」が大切で、研修なんて意味が薄いという事です。
もちろん、勉強大好きな薬剤師であれば、そうした環境に合っているし問題ないです(お給料が出ないのは論外ですが)。
しかし休日のお給料が出ない研修にだって、勉強させてもらえる環境に喜びを感じる人も、まれにいるのです。ほとんど居ないと思いますが……
ただやっぱり感じるのは、まずは「職場の環境」「働きやすさ」が根底にあって、そこから勉強や薬剤師としての経験値を積む事が出来るのです。
端的に言うと、「研修が嫌だ」「給料も出ないし変だ」と感じているなら、そもそも働く環境が良くないという事です。
薬剤師として成長するには自己学習や研修も大切だけど、やっぱり「環境」こそが一番大切になってくるのは社会人としての成長が一番だから。
もしかしたら、あなた自身、薬剤師としてのやりがいを感じられないような職場で働いていませんか?薬剤師として以前より、社会人としてつまらないと思っているなら要注意なんです。
はじめは休日の研修も不満なかったのでは?
特に若手薬剤師に限った事という訳ではありませんが、当初は研修が日曜日などに行われていても大きな不満は無かったはず。繰り返しになりますが、だんだんと、「これってお給料出ないの変では?」と感じてきます。
でも、一つ思い当たるフシがないか、以下の事を考えて見て欲しいんです。
- 仕事がつまらなくて、面白くない
- もし研修にお給料出ても、行きたくない
- 色々と積み重なる不満がある
こうなってくると、単に「休日の研修会にお給料が出ない事だけが不満」とは、性質が異なってくると思うのです。
薬局・病院なりで働いていると、社員の定着率が悪い(毎年誰かしら辞めている)職場というものは、意外と存在します。運が悪く、そういった所で働くハメになっていないか注意が必要です。
これは「そこに就職した薬剤師が悪い」のではなく、やはり採用時には綺麗事しか言わないので、仕方ないのです。ブラック企業の性質でもありますよね。
あなた自身、「確かに休日の勉強会にお給料が出ないのは変だと思っている。だけどよく考えたら、他の部分でもおかしいと感じる事が多い。機械のように働いてるだけかも……」
そんな気持ちで働いていないか、自分の胸に問いかけて見ることが大切です。
「休日の研修を給与支払い無しでさせる、おかしな風土の薬局や病院」で働かされている、それが転職を考える一つのきっかけになる薬剤師も多いのです。
2024年現在、「将来を考えると不安・環境を変えたい」そう感じていても、実際どうすればいいか分からない薬剤師は意外と多いもの。
◎今の職場はつらく逃げたい
◎年収など条件面を重視したい
◎成長できる環境に身を置きたい
◎つらい人間関係を早く解消したい
◎ワークライフバランスを重視したい
そんな状況から抜け出すには、相談して客観的なアドバイスをもらう事。そうすれば、また新たな一歩を踏み出すことが出来ます。
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