薬剤師を志そうと考えるにあたって、避けて通れない大学選び。
偏差値だけに目が行きがちですが、それだけはない、簡単なようで、案外難しい側面があるんです。
薬剤師免許が取れればどこの大学でも同じは“結果論”
「薬剤師は免許さえとれば大学はどこでも同じ」これは真実ですが、“結果論”つまりポジショントークです。
それはなぜかというと、そのセリフは薬局や病院、ドラッグストアなどですでに薬剤師として働いている側からの発言だからです。
薬学部で何を学びたいか、将来どうしたいかでも変わる大学選び
私が薬学部に入学した1990年代、関東の私立薬学部の偏差値上位は、①東京理科大②北里大という順番でした。
入試ですから当然どちらも受験する学生が多いんですが、東京理科大、北里大、両方に合格したからと言って、より偏差値の高い東京理科大に進学するか、というと必ずしもそうではありませんでした。
付属に病院があるかないか
「薬学」を学ぶにあたり、薬学部だけを見るのではなく、より臨床を学べるかが進学のポイントとなる面も存在します。
それはどういう事かというと、医学部、つまり大学病院のあるなしも考慮に入れる必要があるという事ですね。
東京理科大と北里大の例で言えば、北里にあって理科大にないもの、それは同じキャンパスに医療施設があるかないか。
そういうところも加味して大学選びをする事も考慮に入れて欲しいなと思います。
それを踏まえて頂いた上で、偏差値、学費についてと、そして考えなくちゃいけない問題を伝えたいと思います。
◆参考というわけじゃないんですが「薬剤師が書いたブログ」って、生の声が多くあって業界の参考になります。
いろいろな薬剤師のブログをまとめた記事は以下です。
・薬剤師のブログ|おすすめしたい勉強になるものを紹介するよ!
※以下偏差値については2020年度のものと思ってください。大幅な修正があれば、都度調べて追記・修正します。
薬学部偏差値比較<国公立&私立>
【国公立大学薬学部偏差値ベスト6】
① 東京大学(理科Ⅰ・Ⅱ類) 74~75
② 京都大学 72
③ 大阪大学 70
④ 名古屋市立大学 70
⑤ 北海道大学 69
⑥ 千葉大学 68
・・めっちゃ高いです。鼻血でます。
上位なので高い、そりゃそうですが、一方で下位という表現が全くもって不適切なほど、偏差値下位の大学でも下のように高いです。
【国公立大学薬学部偏差値ワースト6】
① 山陽小野田市立山口東京理科大学 60
② 富山大学 63
③ 徳島大学 63
④ 金沢大学(石川県)64
⑤ 静岡県立大学 64
⑥ 長崎大学 64
・・・めっちゃ高いです。
どれくらい高いかというと、私立薬学部の偏差値ベスト6が慶應義塾大学(69)、東京理科大学(66)、北里大学(62)、星薬科大学(62)、立命館大学(61)、近畿大学(61)という事からも一目瞭然です。
対策が異なるので国公立と私立で単純比較できない
国公立と私立の偏差値は単純に比較できません。受験対策が全く異なってきます。
感覚的にですが、国公立で下位6つにあげた大学に合格できる学力があれば、慶応や東京理科大にも受験対策次第で合格できますし、実際学費の関係で、国公立に進学している学生も多いんです。
薬学部の学費について
私立薬学部
私立については大学により学費が差があり、近年は学生不足もあり、年によって大きく変わってくるので大学のホームページで最新の情報をご自身で確認するようにしてください。
だいたいの目安として、6年トータルで1,000万~1,300万程度で、平均で1,200万と考えておけばいいでしょう。
やはりこのぐらいの学費になると、どうしても奨学金など利用しなくてはならなくなってくるかもしれませんよね。
国公立薬学部
国公立は大学によってほとんど差がなく、6年トータルで書籍等含めても400万というところです。
国立大学薬学部に入る注意点
偏差値、学費を踏まえると幾つかの課題が見えてきます。
地方の国公立大薬学部に行く事
国公立大学の偏差値の高さをお伝えしましたが、下位にランクする大学でも相当な偏差値の高さです。
もしこの下位ランクに位置する大学に入学するのが地元の学生、であれば問題ないんですが、医学部同様、遠方から受験する生徒がとても多いわけです。
地方の学生が学費の安い国公立大に行ったとしても、当然一人暮らしに掛かる費用が発生します。家賃で4万円、月の生活費4万円としても、帰省もするでしょうし、年間100万円近い出費です。6年で600万円。
そうなると、国公立大6年間の学費が400万円としても、結局トータルで1,000万円近くなってしまいます。
地方はアルバイト代が安い事も注意
6年間の学生生活の中で、学費・生活費を考えれば当然アルバイトをする事もあるでしょう。
しかし、地方が時給が安いという事も考慮が必要です。これは法律で最低賃金(時給)が定められているので、業種にもよりますが、かなりの開きがあるのです。
東京では時給1,200円なんてのもザラですらかね。
最低賃金
2018年度、薬学部のある中で、もっとも高い東京は時給958円。かたやもっとも低い長崎は737円。時給で200円以上の開きがあります。
また、地方の方が物価が安いかというと、確かに家賃は安いですが、それ以外は、物流の整った東京の方が食品・日用品なんかは確実に安く手に入ります。
つまり6年間トータルで考えると、国公立か私立かで、簡単な比較は難しいのです。
(それでも国公立の方が安いのは事実です!ただ単純に学費だけで考える程の差は無くなる可能性もあるかもしれない、という事は加味する必要があるという事です。)
国公立の薬学部に入るメリットは学費だけというデメリット
親元から国公立の薬学部に入る事ができるならば、何も支障ないかと思います。
しかし例えば、もっとも人口の多い東京近郊において、国公立の薬学部は、東大と千葉大だけです。偏差値だけでいえば、私立の高偏差値医学部に匹敵する程の高さです。
それほどの学力を持ってして薬学部に入るメリットが果たしてあるのかどうか。
「薬学」というものに純粋に向き合って、東大、千葉大に入り、研究をしたいという志があるのでなければ、正直なところ学力の無駄遣いです。
将来を選択できる今だからこそ、多くの大学の情報収集が大事です。色々な資料を取り寄せてみて、視野を広くもってみないと絶対にだめ。
しっかりと情報を集める事こそが、自分自身の可能性を広げます。
これは別に関東に限った事ではなく、国公立すべての薬学部の偏差値の高さを考えても同様です。
社会に出てからの事も視野にいれての選択肢ではないのであれば、同じく自分が持つ学力について、その生かし方、というものはよく考える必要があるのかと思います。
国公立薬学部に入る学力があれば、他の学部も検討してみる
つまりどういう事かと言うと、「薬学」に対しての明確な目標は無く、しかしそれだけの学力があるのであれば、他の国公立の違う学部、あるいは私立他学部に進む事も、少し検討してみてはどうかという事です。
医療業界全体、すでに大手製薬企業含めてめちゃくちゃ厳しい環境ですし、今後改善していく事も考えにくい状況です。
国内大手の武田薬品やアステラスだって、どこだって、研究職を中心に営業も人員削減真っ最中です。
学生のうちからの企業研究はちょっとしてみた方がいいと思いますよ(このブログは変な事ばっか書いてますが、他にも色々と参考にしてみてください)。
薬学部に入るとある程度卒業後の進路は絞られます。進路が決まってくる事、その事自体は良い面もあります、変に悩む必要もないですからね。
しかしあなたに学力があるからこそ、少し勉強のあいまに立ち止まって、「大学探し」だけではなく、「医療業界」についても、調べて、将来に思いを馳せてもらえればなぁと感じます。
「病院薬剤師って何するの?」「薬剤師の仕事って理解出来てるかな?」まずはそうした視点を持った上、薬学部に入り薬剤師として働く意味も考える事が大切かなと感じます。
国立・私立に関わらず、まずは薬剤師として働く未来を描いてみる事が大切ですね。
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