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薬剤師と就職・転職活動

アンケートから見る薬剤師という職業の魅力度

(2018年7月初稿)将来就きたい職業って何でした??覚えていますか?

株式会社クラレが毎年行っているアンケート「将来就きたい職業」(リンク)、ご存知の方も多いかもしれません。

新小学1年生と小学6年生の「将来就きたい職業」、そして親の「就かせたい職業」。その2018年度のアンケート結果がこの7月に出ました。

かつては女性に圧倒的に人気であった薬剤師も男性比率が高まってゆき、またとりまく環境も大きく変化を見せています。

もちろん薬剤師としては自分の職業が世間からどう思われているのか、少し怖い物みたさという部分がありつつも気になってしまうところですよね。

なによりその職業が「就きたい」「就かせたい」と考えられているという事は、社会的な信用力や年収面等、その魅力度が本人にもそして第三者からも評価されているという事です。

小学6年生の就きたい職業

ここで言う小学6年生は調査時のもので、今春小学校を卒業した子供です。サンプル数は男の子とその親が各678名、女の子とその親が各754名です。

結論から言うと「薬剤師」は、男女とも10位以内には入らず、男の子の将来就きたい職業で11位。女の子で12位となりました。

しかしここで人気職業ではなくなったと考えるのは早計というもので、男の子で薬剤師が11位にランキングされるのはかなり意外な感じがしませんか?

それもそのはず、2016年は20位圏外だったものの、2017年に19位、2018年は11位と年々上昇しています。

一方で女の子は2016年4位、2017年7位、2018年12位と男の子とは逆に年を追うごとランクダウンしています。

  • 男の子では薬剤師人気が上昇
  • 女の子では薬剤師人気が下降

この差はなんなのか?どうして生じているのか?結構分析が難しいところだなと感じますが、私の仮説は「親の刷り込み」ではないのかなと考えています。“手に職つけて稼げる仕事”という意味でかつて絶大な人気を誇った薬剤師。

パートとしての時給が極めてよく、ライフイベントの中で働き方を選択する可能性が高かった時代には女の子にはうってつけの職業だったわけです。

親から「将来は薬剤師になるといいよ」と日ごろから言われていたとしたら、将来就きたい仕事も薬剤師と答える子供が多くなるのは自然なことです。

しかし、薬学部が6年制となり、掛かる学費の中で選択肢としてはパートで稼ぐレベルでは学費が回収できそうもない、それゆえ女の子には親が勧めなくなってきた。

どうでしょう、この私の仮説は。それなりに筋が通っているのではないのかなと思うのです。しかし、親の「就かせたい職業」トップ10を見ることによって、この仮説がまったく誤っていたことが分かりました。

親の就かせたい職業

男の子の親が就かせたい職業をみると、薬剤師は10位です。2016年は10位圏外でしたが、2017年に7位と安定しています。

近年は男の子に薬剤師になってほしい親が増えたという事で、これはつまり、男の子が就きたいランキングの傾向とも一致していて、近年では安定的に、親も男の子もなりたい職業という事です。

一方、女子の親が就かせたい職業では今回5位、2016年4位、2017年2位となっています。私が先ほどたてた仮説とは全く逆です。いまだに根強い人気を誇っているのです。

学費が高いどうこうを小学6年生の段階で考えているはずもなく、やっぱり親の立場では「薬剤師」という職業を、男女問わず、理想のものと考えている方がとても多いのです。そして女の子においては、医療職(医師・看護師・獣医師)は、そのイメージと相まって根強い人気なのです。

女の子の薬剤師人気が落ちた理由は?

親子ともで、唯一落ちているのが、女の子が就きたい職業として薬剤師を挙げなくなってきているという事。それは他にランキングしている職業にヒントがあるようです。

2016年に4位だった薬剤師を2018年は12位まで押し下げた他の職業を見てみましょう(ちなみに2016年は、1位保育士、2位教員、3位看護師であり、これらは2018年も3位以内です)。

  • 医師
  • パティシエ・パン屋
  • デザイナー
  • 獣医師
  • 漫画家・イラストレーター
  • 医療関係
  • スポーツ選手
  • 動物園・遊園地

これらが薬剤師を抜き去った職業です。

ちなみに2016年ではスポーツ選手は20位にもランキングしておらず、他は医師(7→1位)、獣医師(13→7位)という点が目を引くところです。

医師や獣医師と言う職業に対するあこがれは昔からあるものだと思いますが、それを“現実的な職業”として考えたり、スポーツ界での女性アスリートの活躍に憧れたりする事は言うまでもありません。

また、それ以外の職業も多岐に渡っており、「女性にとって職業選択の幅が広がった」という近年の女性活躍の観点が、単に薬剤師の順位を押し下げる事となったようです。

しかしながら、2016年のTOP3(保育士、教員、看護師)が、2018年もTOP3(2位に看護師、3位に教員と保育士)であるという事を考えると、女性薬剤師の活躍が見えていなのではないのかな?と懸念してしまいます。

年収や時給が保障され、ぬくぬくと働いている薬剤師はいないでしょうか?

頑張っている女性薬剤師がそれ以外の薬剤師の陰に隠れてしまう現状、変えていく必要があるのかもしれませんが、淘汰されてしまう時代ももうすぐそこにやってきているのです。