見掛けの年収で比べないようにしよう。求人広告などでは給与は「年収」で表記される事が一般的です。
<年収600万円以上可><年収450~600万円>みたいな感じです。分かりやすいですね。でもここで注意が必要です。
気を付けたい、年収の内訳
ここで例として、年収560万円求人案内の内訳を考えてみます。
【パターンA】月収31.1万円×12ヶ月+賞与31.1×6ヶ月=560万円
【パターンB】月収35万円×12ヶ月+賞与35万円×4か月=560万円
【パターンC】月収40万円×12ヶ月+賞与40万円×2か月=560万円
【パターンD】年俸制560万円(月収46.7万円×12ヶ月)
みなさんどれがお好み?でしょうか。年収560万円でも、いろいろなパターンが存在します。年収が同じでも、月々多く給与をもらえた方がいいか、賞与でたくさん貰えた方がいいか。
ぱっと見は変わらなくても、上記例だけでも月収は31.1万円~46.7万円と、大変大きな差があるのです。
どちらがいいかは、個人個人の考えがあるので一概に言えませんが、「どれも年収560万円だから同じだ」と安直に考えてしまう事は大きな間違いです。
年収だけで考えてしまうと所得は大きく変わる
ご存知の方も多いと思いますが、毎月のお給料から引かれる社会保険料。これは、4月から6月、3ヶ月間で支給された給与で決められる『標準月額報酬』で決まります。
「春に残業が多いと保険料が高くなる」というのは聞いた事がある方も多いと思います。
健康保険料は料率がそれぞれ異なるので単純な比較ができませんが、残業代が無い場合で、上記のパターンAとDとの社会保険料を比べてみます。
≪パターンA≫20等級=標準月額報酬:320,000 厚生年金:29,280円/月
≪パターンD≫26等級=標準月額報酬:470,000 厚生年金:43,005円/月
手取り給与でいうと、厚生年金の影響でなんと年間で164,700円もの差が生じます!
また、健康保険料はざっくりと10%として計算します。
≪パターンA≫23等級=標準月額報酬:320,000 健康保険料:32,000円/月
≪パターンD≫29等級=標準月額報酬:470,000 健康保険料:47,000円/月
健康保険料でも、手取り給料は年間で180,000円の差が生じます。
つまり、同じ年収560万円でも、実際うけとる事のできる手取り給料は、年間で35万円程の差が生じてくるのです。
厚生年金については、単純に“負担感”だけで片づけられることは出来ず、将来受け取る事のできる年金には差が生じますし、傷病手当金をはじめ、就業できなくなった際の手当ての基準ともなるので一概に損得勘定はできませんが、健康保険料については単純に負担が増える形となります。
こう考えると年俸制ではない方がいいように思えますが、賞与というのは業績によっては支払わなくも良い性質のものである事は注意しなくてはいけません。
医療業界も厳しい環境ですから、月々きちんと支払われるという事への安心感は生まれてくるはずです。
ただ月給制と違い、年俸制を敷くところは、みなし残業が含まれているパターンがあるのは注意が必要です。
年俸制で年収560万円だったけど、残業20時間込みで、実質は年収500万円+残業代60万円、なんてのはよくある話です。
※1)厚生年金の保険料率は段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月で引上げが終了し、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。それを会社と労働者で折半しているので、負担は9.15%となります)
※2)4~6月の給与で標準月額報酬が決まる事が多いですが、12ヶ月を標準化して定めている事業主もあります。
単に年収にとらわれずに転職活動を行う事は、手取り収入を上げる際には必ず考えなければならない事なのです。
ところで「うちの地域は住民税が高くて」なんていう年配の方がいまだに結構いますが、少し高い夕張市を除き、今は全国どこでも誤差レベルの差で、ほとんど住民税は同じですよ。
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