新卒1~3年目くらいの調剤薬局で働く薬剤師にとって、キャリアパスを把握しておく事はとても大切です。
何より30代以降どう働くかという事は、収入にも大きく直結しますよね。
また、変化する薬剤師を取り巻く環境に、どう対応していけば安定した社会人生活を送る事が出来るかを把握しておかないと、取り返しのつかない事にすらなりかねません。
- 何となくでもキャリアパスを把握しておきたい
- どう目標設定して働けば良いか分からない
- 今の職場を転職で変えた方がいいか悩む
一緒に働く先輩薬剤師が、しっかり薬剤師としてのあなたのキャリアパスを示してくれれば良いですが、その先輩薬剤師だって30歳そこらでは何も先の事は分かってない可能性の方が高いです。
そこでこの記事では「いまいち本音で頼れる先輩がいなくて将来のキャリアパスを明確に描けないあなた」に、調剤薬局でどう働くとどんな薬剤師キャリア形成が出来るかを紹介していきます。
(1)調剤薬局での薬剤師のキャリアパスについて
(2)どのように働いていけばよいか
(3)転職を考えた方がいい場合
順にみていきましょう。
調剤薬局での薬剤師のキャリアパスについて
ある程度でも調剤薬局で働いているなら、どんな立場(役職)の人がいるかというのは、何となく分かると思います。
ただこれはあなたが働いている薬局の規模によっても大きく変わってきますよね。数店舗規模の地域に根ざした薬局か、或いは全国展開のチェーンでがらっと変わる部分です。
私も薬剤師として働いてきて、中規模と大規模チェーンでしか勤務経験がなく、あまり小規模薬局の事については分かりません。
ただ大手にいると小規模薬局との会社合併が頻繁に起こりますから、ある程度の事は聞いて分かっています。そのため小・中規模はひとくくりで説明します。
小・中規模チェーン薬局でのキャリアパス
まず大手と違って中小規模薬局の場合、早い段階で仕事を様々任せてもらえる事が多いですから、薬剤師としての成長は早いです。知識がたくさん……というよりは、実務としての薬剤師力は早くつきます。これは良いことですね。
1,2年目は基本を一通りに、この時期から在宅業務もある程度任せてもらえるようになるでしょう。在宅業務で十分独り立ち出来るのはまだ少し先ですが。
そして3年目から5年目くらいで管理薬剤師(薬局長)として仕事をする機会をもつ事になる薬剤師が多いはずです(管理薬剤師になりたくないと拒否する人も多いのですが……)。
5年目が近くなるこの頃になると、収入面もそれなりになってきます。
新卒給料が年収400~450万円程度だったものが、500~550万くらいにはなるはずです。
【注意】
薬剤師の年収の話は、一般論として語るのは難しい部分です。
それは単純に、地方ほど年収がぐんと上がるため。
同じ仕事内容でも、東京都内で年収450万でも、地方であれば600万円越えるというのは珍しい話ではありませんよね。
そのためここでは、そこそこ都心部での相場と考えてください。関東で言えば、東京・埼玉・神奈川など。
薬局長(管理薬剤師)になると年収がそこそこになりますが、ここからは伸びが一気にゆるやかになります。
40歳くらいまでは緩やかに伸びて、それ以降は年収は頭打ち。エリアマネージャー(管理職)になると年収700万円という所です。残業が多い薬局長であれば、ここで年収がダウンも珍しくありません。
その上の部長というポジションも、中小規模であればそれなりに仕事出来る薬剤師なら狙えるポジションです。そこで年収は800~900万円。
エリアマネージャー止まりが、一番きついですね。仕事が忙しくて、年収もいまいち。ただこういう薬剤師は割と多いのが実情です。
どうしても部長に昇進したい人で無ければ、薬局長としてずっと働いていく方が仕事と収入のバランスもよいかもしれませんね。
大手チェーン薬局の薬剤師キャリアパス
大手は中小薬局よりも社内研修などがしっかりしている反面、入社同期も多いので昇進が遅くなりますし、もちろん収入面もどうしても厳しくなります。
同期が多いという理由以外にも、単純に「〇年目以降じゃないと薬局長にさせない」という事も多いです(※管理薬剤師にはさせるので非常に不条理ではあるのですが)。
とは言え、30歳を目処に薬局長となる薬剤師も多く、年収も500~550万円前後となります。平薬剤師のままだと、30歳を過ぎてもなかなか年収500万には届かないという可能性も。
5年目くらいとなると大手チェーン薬局の店舗数を活かしたメリットから様々な業務を一通り経験してきているはずで、実力的にも十分といえるでしょう。
そこでステップアップのため転職する薬剤師も多く、それは待遇面の問題です。そのまま何年も残っていても次のステージに行けるか未知数+長い年数が必要なためです。
大手の場合はエリアマネジャーになるのも比較的狭き門です。その割に、エリマネは激務のため、声が掛かっても敬遠する人が多いという状況もよく発生します。
私も大手で働いていて、エリアマネジャーになりたい薬剤師なんていうのはほとんど居ません。みんな薬局長を経験してきて、直属の上司の苦労や大変さが分かっているからです。
ただし、やる気がある薬剤師、仕事が出来る薬剤師であれば、その分昇進もそこまで難しくない事も多いのも事実です。
40歳を過ぎてエリアマネージャーになれば、そこから先はなかなか見えないのがまた大手の悲しい所ですが、社内1,2位を争う仕事量をこなせば、自然と部長への道も拓けるはずです。
大手チェーン薬局の部長になれば、年収も都心部で800万円程度は見込めますから、地方で働くヒラ薬剤師くらいの恵まれた年収を手にすることが出来ますね。
どのように働いていけばいいか?
このように薬剤師としてのキャリアパスは比較的シンプルなものですが、ではどのように仕事を取り組んでいけばステップアップする事ができるでしょうか。
だいたいは中小でも大手でも以下に集約されます。
- 人間関係が良い人(コミュ強)
- 社内目標に一途に取り組む人
この2つさえしっかりやれば、真面目な薬剤師であれば順調にキャリアを重ねる事は可能です。
人間関係構築
人間関係に関しては言うまでもありませんが、やはり狭い薬局内でうまく折り合いつけてやっていける薬剤師じゃなければ上司(会社)からの評価は低くなります。
働いていればストレスや人間関係の不満も溜まるものですが、あまり人の愚痴や悪口は言わないようにしたいもの。
誰とでも(表面的にでもそれなりに)うまくやっていく事が求められます。
社内目標に一途に取り組む人
目標というか、ノルマに近い話ですね。かかりつけ薬剤師〇人だとか、在宅や施設をどう取り組むだとか、処方箋枚数増やす取り組みだとかです。
社内目標はえてして馬鹿らしい事ばかりですが、それに不満をこぼすような人材は社内キャリアを上がっていく事はできません。
たまに会社のやり方に反発する人、反会社的な「モノ言う人」がいて昇進していく場合もありますが、そのような人はそこそこは昇進しますが、そこそこ止まりです。そして「モノ言う人枠」も大抵は1つです。何人も要りません。1人で十分なのです。
よって、いかに会社の指示や方針に忠実に疑問を抱かずにこなしていくかこそが、薬剤師としてのキャリアパスを明るいものにしていくのです!悲しいですね。
決して言い過ぎではなく、大手チェーンではこんなものです。
転職した方が良い薬剤師キャリアパスを形成できる場合
薬剤師のキャリアパスを考える上で、話を抜きに出来ないのが転職です。
これはどんな社会人にも言えますが、
- 入社した会社で定年までキャリアを積む
- 20代後半~30代前半で転職しキャリア形成する
というパターンに分かれます。薬剤師の場合はそもそも転職する人がとても多いので忘れがちな部分です。
転職でキャリア形成、そう言われてもピンとこない人もいるかもしれませんが、簡単に言うと「自分に合った仕事をする」という事です。
ひとくちに調剤薬局といっても、自分の処方箋をもって他の薬局に行く事がある薬剤師ならよく分かると思うんですが、雰囲気や調剤1つとっても薬局でやっている事は大きく違いますよね。
1,2年程度調剤経験を積んだ薬剤師であれば、今の薬局でやらせてもらえる事を待つより、自分のしたい仕事で成長・やり甲斐を感じられるようになり、それが結果として将来に渡り役立つキャリアパスとなるのです。
・在宅業務を中心にやっていきたい
・特定の科目を中心に専門性を高めたい
・収入面を重視した働き方をしたい
・生活と仕事のバランスを保った働きかたを目指したい
・中小規模のチェーンで上に立ちたい
・能力がいまいちなので大手で学び直したい
薬剤師として1,2年でも働いていれば、自然とどういう薬剤師になりたいかという道筋は自分なりに見えてくるものです。
もしそれが無くても、こういう仕事は興味もって取り組めるなど、興味ある事に取り組んでいく事こそが、薬剤師としてのキャリアパスに一番大切な事なのです。
役に立ちそうでも、つまらないと思う事を続けるのは難しいのですから。
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薬剤師のキャリアパスは、ぼんやり考えているだけでは今のまま何も変わりません。
将来後悔しないためにも、一度振り返って行動することが大切になってきますね。
2024年現在、「将来を考えると不安・環境を変えたい」そう感じていても、実際どうすればいいか分からない薬剤師は意外と多いもの。
◎今の職場はつらく逃げたい
◎年収など条件面を重視したい
◎成長できる環境に身を置きたい
◎つらい人間関係を早く解消したい
◎ワークライフバランスを重視したい
そんな状況から抜け出すには、相談して客観的なアドバイスをもらう事。そうすれば、また新たな一歩を踏み出すことが出来ます。
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