先日、twitterでアンケートにご協力頂き、138名の方にご回答頂きました。ご回答頂き、ありがとうございました。
その設問は、「薬局の店長は残業代でていますか?」
つまり、管理薬剤師に残業代を出していない、不法な働かせ方をしている中小薬局が多いのではないか?という事なんです。
アンケート結果と分析
早速ですが、以下、そのアンケートと結果です。
薬局で働いている方にお伺いします。
薬局の店長(名称は異なると思います)は、残業代は出ていますか?
それとも管理職扱いでしょうか?※薬剤師の採用権限がある方は除外してください
※母数が少ないと意味が無いので恐縮ですが、RT頂けると助かりますどうぞよろしくお願いします
— あるぱか@薬剤師 (@kanocchi3) 2018年9月5日
質問に対する回答は4つです。
(1)残業代は出る
(2)残業代は出ない
(3)例えば20時間以上から出る
(4)年俸制を理由に出ない
これは大まかに2つに区分けできます。このうち、(1)及び(3)は、残業代が出る。(2)及び(4)は、残業代が出ない。という事になります。
よって、残業代が出るとご回答頂いたのは、全体の55%。残業代が出ないとご回答頂いたのは、全体の45%、という事になります。
ざっくり言うと、約半数近い薬局では、店長に残業手当が支給されていないという事になります。
THE・ブラック!
管理監督者ではない、薬局の店長
設問にも記載し、回答除外としましたが、薬局の店長で薬剤師の採用権限がある人なんていうのは、まずいないでしょう。
店長=管理薬剤師として考えると、管理薬剤師の業務の根幹は、物と人の管理です(過去記事参照)。
管理薬剤師にこれが求められているという、この1点においてでさえ、薬局の店長(おそらく管理薬剤師)は、管理監督者としての要件は満たしていません。
管理監督者とは
管理薬剤師という言葉があるので紛らわしいのですが、労働基準法上における「管理監督者」は全く別です。
労基法上、「管理監督者」にはしっかりとした定義があり、それを満たしていれば、薬局店長と言えども管理監督者となります。
管理監督者の定義(ざっくりと)
【職務内容・権限・責任】
労務管理や会社運営について権限を持ち、経営者と一体的な立場にある
【勤務・労働時間管理】
労働時間、休憩、休日等に関して厳格な規制を受けず、裁量性が認められている
【待遇】
賃金面で、一般労働者と比較して立場に相応しい優遇を受けていること
人事権が無いなら管理薬剤師は残業代必須
労務管理について、権限のある店長などはいないでしょう。質問では、薬剤師採用権限のある店長は除外していますが、あまり意味の無い注意書きだったかもしれません。
つまり、経営者と一体的な立場などとはとても言える事はできません。
勤務時間についても、裁量制で働いているなんて言う事は、まず無いでしょう。だって管理薬剤師として勤務しているんですから、裁量制どころか、むしろ逆です。
もっとも管理薬剤師の要件で“週何時間働けばよいか”という事は、先ほどの過去記事リンクでも記載したとおり根拠はありませんが、まさか週2日くらいしか働いていない、裁量労働なんて言う事は考えづらいものです。
待遇面で相当な優遇をされていたとしても、上記2点が満たされていなければ、管理監督者とする事はできません。
また、年俸制だから残業代が不要などという事も全くありません。
相当な優遇がどれほどか、というのは難しい部分ではあるものの、いずれにせよ、管理監督者としての要件は満たしていないのです。
つまり、薬局の店長は、管理監督者たりえないのです。しかし、半数近い薬局では、残業代不払いという現実。
つまり、これからの薬局経営環境を考えれば、残業代未払いの薬局経営者にとって、①経営的な部分そして②労働基準法へのコンプライアンス、2重のリスクを背負っているのです。
関連記事:薬剤師転職サイトの闇
目先の年収につられて転職はNG
求人をみれば、高年収求人があふれています。以前よりは、落ちましたけどね。
年収500万円だった薬剤師が転職して年収600万円になった。よくある話ですし、残念ながら薬剤師、とくに薬局は転職で給与があがっていく側面がいまだに強く残っています。
しかし、前の職場では店長にも残業代が付いていたが、転職後は付かなかったとしたら。
月給30万円(職務上の手当を含み、それ以外の手当を除く)の方の割増賃金時給は、一か月の勤務が1日8時間労働で21日勤務であるとすると、以下のように算出されます。
30万円/21日=日給14,286円
14,286円/8時間=時給1,786円
割増賃金単価(残業代):1,786円×125%=2,232円
休日出勤をした際は代休ではなく、割増で支給されている方がいるでしょうが、同じ計算式です。
当然のことながら、分母、つまり月給が高ければ高いほど、割増賃金は高くなります。時給3,000円を超えるということも、全く珍しくはないと思います。
目先の金額につられて転職し、そこで店長にステップアップしたら、実は前の職場の方が結局は年収が良かったなんて言う事は多いのです。
ちなみに私は過去に目先の金額で転職しましたが、逆に転職先は残業代が付いていたので、ダブルでありがたい状況でした。結果論ですけどね。
だって、当時は「薬局の店長は残業代はつかない」ものだと、思いこんでいたのですから。むしろ「残業代でるの?ラッキー」くらいでした。
会社のせいにするのは簡単ですが、労働者も賢くならなくちゃ、いけない時代なのです。
管理薬剤師に残業代は必須です。
転職や就活の際に、目先の金額につられず、福利厚生なども含め、しっかり検討するのは自分自身の責任なのです。
薬局環境が厳しいから店長残業代でないとか、残業代払ってちゃ経営成り立たないよとか、そういう問題ではないのです。
名ばかり管理職扱いされている場合の対応2点
▼相談対応には、薬剤師会員サイトに登録し、水面下で求人確認等、ゆっくりと転職の準備を進めて行きましょう。
▼遡って2年間まで、未払い残業代の請求が出来ます。これは専門家に、まずはきちんと相談から。
まとめ
今回のアンケート結果、これは結構意外だな、というのが正直な感想でした。
過去にはマクドナルドの名ばかり店長訴訟などもあり、企業のコンプライアンスというものは重要視される時代になっていると思っていたからです。
薬局で働く事は、どこに勤めたって、まぁ大なり小なり、同じ。そうかもしれません、業務内容は。
しかし、自分の働く世界がこうだから、他も同じだ、なんていう事はありませんし、転職で年収がアップする業界の中で、ある会社で新卒から真面目に働いている薬剤師の賃金が、転職者より低いという問題も多くあります。
全国に58,000薬局ある中で、いわゆる大手、上位10社が市場に占める割合は売上高15%、店舗数20%弱ほどしかありません。
中小企業が多くを占める中で、この問題は触れてはいけない問題だったのかもしれません(笑)でも闇です、結構。
しかしその一方で、同じ土俵で勝負しているという事もまた、紛れもない事実なのです。
チェーン薬局vs個人薬局。これは働く人、管理薬剤師が働きやすいかどうかにかかっているのかもしれませんね!
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