処方箋の有効期限が4日間という事は、それを過ぎればもう紙切れと同じで、どうしようもありません。再受診が原則(たぶん自費)。
不便で課題が見えてくるこの問題。患者さんから、調剤薬局から、それぞれの立場からだけ考えるだけでは結論が出そうもありません。単純かと思いきや、かなりややこしいのです。
そもそも、処方箋の「使用期間」という言い回しが変だという問題
処方箋は様式が決まっているわけですが、その中に「処方箋の使用期間」とあります。この表現、よく考えると、なかなか分かりづらい。
「使用期間」?あまり使わない表現です。
「使用期間」でネット検索してみると、いわゆる会社における「試用期間」しかヒットしません。あるいは、会社の「試用期間」を「使用期間」と言い間違え。処方箋くらいにしか、使わないのかもしれません。誰が使い始めたんでしょうか、この表現。
そもそも、基本的に空欄という事が、患者さんに「使用期間は交付日を含めて4日以内」ルールという事を分かりづらくさせている最大の原因です。(ちなみにこのルール、薬剤師かつ法律好きな方向けに後述しますが、頭がこんがらがってきます。)
手書きで処方箋の使用期間が追記されてくる事なんかほとんど無いのですから、交付年月日と同様、印字できないものなのでしょうかねぇ。処方箋交付から3日後の日付を入れればいいだけなのに。
使用期間を過ぎた場合
例えば、患者さん向けの広報として、日本調剤さんのホームページの画像を引用させてもらいます。結構分かりやすいです。(※私は社員じゃないですよ)
引用:日本調剤ホームページ「調剤薬局のきほん」より
再発行してもらい、自費扱いとしっかり明記されております。
こちらをご覧になった患者さんにおかれましては、処方箋の使用期間が過ぎてしまった場合は、再度医療機関を受診し、10割負担で診察、ならびに薬局でお薬を調剤してもらわなければならないという事を、ご認識頂ければと思います。
ご面倒、ご負担をお掛けしますが申し訳ありません。処方箋を発行してもらったら、なるべく当日に薬局に足を運ぶようにしましょう。
厚生労働省は、使用期間を過ぎないように国民に周知する必要がある
患者さんにとって分かりづらいルール。こうした苦情は行政にも届いています。
それに対して厚労省も対策を講じています。
ざっくり言うと、これは総務省に寄せられた処方箋使用期間に関する苦情、つまり行政相談をもとに、①医療機関で啓発を進めていくとともに、②「国民への周知が図られるよう広報啓発」を行うよう厚労省でも対策を講じた、という事です。
それじゃぁ、具体的に厚労省が何を講じているかと言うと、厚労省のホームページに掲載しているだけです。これをもって国民への周知とは、部下なら叱るレベルの仕事内容です。
あ、いや、部下じゃないですね、ダメ上司の仕事レベルと言った方が適切です。お詫びと訂正を致します。
疑義照会で処方箋の使用期間延長はできるか
・・・これは私が回答を書けないというか、書くとしたら「ダメ」と書くしかないのです。「ダメ」だなんて、一番楽な回答ですし、そして間違っても無いですし、責任回避には「ダメ 」で終了です。
とは言え、少し前までは特に躊躇なく医師に疑義照会し、期限を延長してもらう、なんていう事は普通でした。
ところが近年は、特定の地域の厚生局からの指導により、処方箋の使用期間延長は疑義照会しても明確にダメと言われています。処方箋はその使用期間を過ぎた時点で、紙切れだからです。
都道府県によって厚生局の解釈違うのどうにかならんか
<地域によって厚生局の解釈が違う>という問題、こういった問題は幾つか存在していて、そしてこれはなかなか薬局にとって厳しく、難しいことです。何が正解か分からなくなってしまうからです。
同じ関東信越厚生局であっても、都内で働いていれば、「神奈川は相当厳しいらしい」なんていうのは良く聞くはなしです。頓服は何回までなのか、割線の有無で自家製剤加算がどうの、明文化されていないだけにやっかいです。この業界、意外と暗黙のルールが多いと思いませんか?
処方箋の使用期間延長も、疑義照会してもダメ、とはっきり言われているところが出てきています。
①期限を過ぎている時点で処方箋として成立しない。紙切れと同じ。
②よって、医師に承諾を得ても認める事はできない。
という理屈です。
薬局だって理解しているからこそ、紙切れと同じになってしまった処方箋だから、医師に問い合わせて、効力を復活させようとしているわけでしょう。
こういうのは、得てして1人の内部の鶴の一声だったりするんじゃないでしょうか。個人的には屁理屈です。(※もちろん、どう見ても風邪の処方なのに5日後に患者さんがいらっしゃるとか、それはちょっと置いといてください。別の問題です。)
とは言え、厚生局の指導に逆らえるはずもないのが悲しいところです。
ちなみに「紙切れ」扱いなんだったら、患者さんが使用期間を自分で書いても良い解釈も成り立ってしまいそうですが、医師の印鑑があるので、有印私文書偽証罪になるのでダメです。
偽造処方箋も、一番罪が重くなるのは詐欺罪などでは無く、有印私文書偽証罪です。有印私文書偽造罪は、刑法159条1項で規定されていて、3月以上5年以下の懲役です。
<処方せんの使用期間は、交付の日を含めて四日以内とする>
さて、このルール、何に基づいているかご存知でしょうか。当然これは明文化されていて、守らなければならないルールなのですが、ちょっとややこしいのです。
処方箋使用期間4日以内ルールの根拠
薬局で守らなければならない処方箋のルール、例えば応需義務であったり、押印ルールであったり、保管義務であったり、そういった事は全て薬剤師法に記載がなされています。
つまり、4日ルールは処方箋を発行する側のルールという事です。
処方箋の交付についてのルールは、保険医療機関及び保険医療療養担当規則第20条、21条に記載されています。薬担(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則)ではありません。こちらは療担です。
薬担メインに考えてしまう薬局なので、馴染みのないところに根拠があるという事が、これを分かりづらくさせています。いや、複雑すぎて、もう分からなくてもいいと思うんですけどね。
療担は、健康保険による診療を担当する保険医療機関や保険医が守るべき責務を定めた厚生労働省令です。
療担規則は、「健康保険法」に基づいた規則
療担規則は、健康保険法に基づく規則です。ふ~む・・生保はどうなるんでしょうか。関係ないという解釈でも良いのでしょうか。いないと思いますが、もし興味のある方は、保険医療機関及び保険医療担当規則を覗いてみてください。もう法律家でないと分かりません。
ただ一つ、療担には後発品の推進についても触れていますが、生保の指定医療機関医療担当規程にも同様、後発品の推進には触れているという事だけは申し添えたいと思います。算定率に入らないのに。
法律やルールは、いつだって分かりづらいです。何が「貴見の通り」ですか。
質問が出ないように、もっと分かりやすくして頂きたいものです。管理薬剤師だって週何時間勤務時間が必要か(過去記事リンクです)、どこにも書いてなんか無いのですから。
もっとも、曖昧さ加減が法律の良さを生む側面も否定できませんがね。とっても単純なようでいて、かなり私には難しかったテーマでした。
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