地方ではやや偏在しているかもしれませんが、都心部には有料老人ホーム、特養や老健、障がい者の入居施設など数多く存在しています。
前触れもなくその時は訪れます。「そちらでお薬お願いできますか?」と。
そういう依頼が施設から舞い込んだとしたら、受けるか否か。これがなかなかに、頭を悩ませる問題なのです。
薬局×施設:収益面からすると
もし依頼のあった薬局が、少し薬剤師に余裕があったり、処方箋減少に頭を悩ませていたりしたら、喜んでその依頼を引き受けるかもしれません。いわゆる施設の処方箋は、極めて毎月安定的かつ独占的に応需することが出来ますし、一包化をはじめとした調剤技術料、多剤併用されている患者さんも多く、売り上げも大きく見込めます。
また施設側の理解で全て後発品医薬品に変更出来れば、伸び悩んでいた後発品算定率も一気に改善することでしょう。
つまり、人件費を勘案する必要は大いにありますが、いまいち経営的によろしくない薬局にとって、施設を受け持つという事は特効薬ともなりうるわけです。
負担感は施設によって極めて大きな差がある
「そんな収益面じゃなくて薬局としてしっかりと担当するのが当然だろう」というご意見、確かにその通りだと思います。
理想はそうなんですが、その施設の対応如何によっては、薬局は非常に大きな苦労をしてしまう可能性もあるのも事実であるという事は、経験のある薬剤師の方であればご承知の通りかと思います。
単純に調剤してお届け、終わり、という訳にはいかないのです。
- 医師同行で施設を回るか(歩く今日の治療薬的存在)
- 居宅療養管理指導料等は算定できるか(有料老人ホームなど)
- 処方内容はどうか(一包化は当然ですが、粉砕調剤が多いと手間で人件費が吹き飛ぶ)
- 薬を届けるだけなのか(この場合もちろん管理料は算定しない)
- 入居者一人ずつ薬のセットを行うのか(相当の時間を要する)
- 施設から無理難題を言われないか(外来混雑中でも2時間以内に持って来てなど)
などなど、ぱっと思いつくだけでも「施設を受け持つ」という事は、いろいろ性質が異なりますし、実際に担当されている薬剤師の方であれば、このほかにも心当たりの部分がいくつもあるかと思います、大いにご苦労されている事が。
患者さんからのクレームと同じくらい、施設からのきついクレームというものはとても多いのです。・・よね?私だけでしょうか。
そもそもその施設から話しが来た経緯は
新規立ち上げの施設からの依頼という事であれば、ちょっと未知な部分が多くてそれはそれで心配な部分も多いのですが、ただそもそも医師も薬局もなぜか当初からくっついて運営している事が多いかと思います。
なんなんでしょうか、あれは。
老健であれば、地域包括ケアシステムとは程遠いような、ケアマネから医師、薬局まで抱えて運営がなされているパターンです。まぁひとつのビジネスモデルなんでしょう。
今更ながらですが、特養と老健の違いを理解していない薬剤師がもしかしたら多いのではないか、ふと思ってしまいましたので、ごく簡単に説明します。この2つは例外を除き、介護算定できません。施設を受け持つ=在宅算定と勘違いしないでくださいな・・。
【特別養護老人ホーム】居宅での介護が難しく、施設で専門職による手厚い介護を受けながら生活をしていく場所で、そこで生活するための手助けを受ける入居施設です。
【老人保健施設】自宅などに戻る事を目的とした施設で、リハビリや医療を受けながら、一定期間生活する場所です。
さて、ちょっと大変になってしまうのが“他の薬局が手に負えなくなって回ってきた施設”です。既存の施設であれば、そういったパターンが多いかもしれません。
なにしろ調剤に手間がかかりすぎる場合がある事と、クレームが多い施設であれば、薬局で対応が難しくなってしまう事もよくあるのです。
薬剤師不足もきついが、施設はより人手不足
ヘルパーや看護師、介護施設における人手不足は本当にきついものです。辞めて行ってしまう人のなんと多い事か。
年収の低さが課題である事については社会的な施策(処遇改善加算)がとられているものの、それも限定的であり、薬剤師以上に派遣という形で働く人も多く、また離職率が極めて大きいのです。人手不足によりサービスが提供できなければ空室はあっても入居者を募る事ができません。
派遣を入れたところで人件費がひっ迫され、赤字の施設も多いのです。特養などの社会福祉施設が無くなる事は少ないですが、小さな施設が消えていく姿を目にする機会はとても多くあります。数年前、小さな施設がどんどん消えてしまいました。大手にはかなわないのです。
施設から突きつけられる無理難題の向こうに見えるのは、やはりその介護現場で働くみなさんの苦労や大きなストレスです。それをどう捉えるかはもちろん薬局、薬剤師の自由です。
やっぱり施設は受けたくない、そう思わされてしまった経験がある方も多いでしょう。調剤報酬上の評価も下がっています。
施設というハコではなく薬剤師の理想、多職種連携し、個人在宅を頑張りたい!そう思う薬剤師が多いかもしれません。そしてその方が評価もされるでしょう。
そこに何か、違和感を覚えてしまうのです。
『薬剤師の責務を果たしてるぞ感』や『患者さんに尽くしてるぞ感』は、施設在宅よりも個人在宅なのだ!というような考え方。なんか薬局業界全体、そして、在宅やったことないけど興味あります薬剤師による、そのような風潮を感じてしまうのです。でも私は逆だと思うのです。
施設の介護報酬もかつては500点、いつのまにやら下がってしまいましたが、施設を受け持つという事は個人在宅に引けをとらず大変な事で、そして施設の入居者はもちろんの事、介護施設で働く人のためにもなっているのです。
施設を受け持つ負担は確かに大きいものです。
「地域包括ケアシステム」がもっぱらのやるべき事になっちゃっていますが、そこから一歩離れた施設を受け持つという事、それは薬局薬剤師として大いに誇りに思うべき事なのではないでしょうか。
2024年現在、「将来を考えると不安・環境を変えたい」そう感じていても、実際どうすればいいか分からない薬剤師は意外と多いもの。
◎今の職場はつらく逃げたい
◎年収など条件面を重視したい
◎成長できる環境に身を置きたい
◎つらい人間関係を早く解消したい
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そんな状況から抜け出すには、相談して客観的なアドバイスをもらう事。そうすれば、また新たな一歩を踏み出すことが出来ます。
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