管理薬剤師の仕事

薬剤師の理想だけでは在宅やってけない問題

「在宅に取り組んでみたいです!」

薬局での面接の場面でよ~く聞く言葉です。

でもこのセリフをきくたびに、ちゃんと覚悟を持ってその言葉を発しているのかな?と感じてしまうのです。

耳をふさげない「地域包括ケア」

それはそうです。薬剤師として「地域包括ケア」の推進という役割を担っていく事は、これからの保険薬局の将来像や存在意義を考えた時に、抜きにして考える事の出来ない課題です。

そして、まだ薬局薬剤師は、これを全然できていません。介護保険制度は2000年4月から始まりました。

20年程たった現在でも、在宅実施薬局数は30%程度。

薬剤師についての今後の役割について掲載された記事などでも、地域包括ケアについては必ずと言っていいほどコアな話題として触れています。

ここ数年は在宅を敬遠しているような薬局はいずれ淘汰されてしまうぞ、というような雰囲気の中で、私を含む調剤薬局の薬剤師は働いています。

さながら【書を捨てよ 町へ出よう】しかり、

【薬局を捨てよ 地域へ出よう】

と言うことが、保険薬局の役割として求められているわけです。

「そうしないと、薬剤師は置いてけぼりになっちゃうぞ、薬剤師なんかいらないぞ、薬剤師は袋詰めしかしてないな」と揶揄されてしまうわけなのです。

これはもはや世論です。

薬学部の学生も、薬局で働いている人も、そういう世論は十分、分かっています。

それゆえ就職活動をしたり、転職活動をしたり、あるいは薬局内での異動希望などする中で、「在宅に取り組んでみたいです!」という言葉が出てくるのは自然な事です。

そして、まさかそこで面接官が「いやいや、君、うちはそういうのやってないから」なんて答える事はないでしょう。

もちろん「やってみたい」なら自分で開拓すればよいのですが、未経験者という前提の話です

在宅に取り組みたいって人ほどすぐ諦める

ところがです、在宅に多く携わっている薬局に配属となったとします(もっとも、在宅は薬剤師としての知識・経験が必要なので、新卒の薬剤師にいきなりがっつりと在宅をやらせたりはしないでしょうが)。

本人の規模のもと、いざ在宅をやってみる。しばらく、頑張ります。

3ヶ月後。

「ちょっと向いてないみたいです、在宅は無理です」

「きたよ!またか!」というセリフ。

無理もありません、理想だけで、在宅に取り組んでみたいと言っていただけなのですから。

在宅の大変さ

在宅は大変です。

医師との連携体制は取らなくてはいけませんし、ケアマネジャーとの関係構築も必要です。

薬が飲みづらくなっている患者さんために、薬を粉砕したり一包化したりと調剤も大変です。

車を運転して患者さんのお宅に行かないといけません。汚いお宅かもしれません。患者さんやご家族から別の用事を頼まれてしまうこともあるかもしれません。

一箱5キロもある重い経腸栄養をいくつも運ばなければなりません。休みの日も急な呼び出しで薬を届ける必要があります。

そのために薬局の近くに住む必要があるかもしれません。

雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けず、働く事が必要なのです。

でもやっぱり在宅は取り組もう

在宅をやったことがある方ならば、はっきりと断言できると思います。「在宅なめんなよ」と。

在宅業務を経験せずして一人前の薬剤師になんかなれる訳がないと思っています。

だけどとっても大変です。

だからなるべく若いうちに在宅を経験しておく方が良いのです。在宅は理想だけではやっていけません。

けれど、若いうちの苦労は買ってでもしろ、という先人の教訓の一つとして、在宅業務に携わる事は私はとても、大切な事だ思います。

その人の今後の薬剤師人生に、100%生かして行くことができます。

これこそが経験であり、理論や理屈、つまり書や薬局の中では、解決できない事なのです。

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