もしかすると薬局や病院で働く薬剤師の多くが「流通改善ガイドライン」って何だ、初めて聞いた、という状況なのではないかと思い、触れてみたいと思います。
まずこういった情報はすべての薬剤師に知ってほしい事だと思っています。管理薬剤師だけではなく、薬剤師には最新の情報を知る手段を伝えておきましょう。下記の記事を参考にしてみてください。
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さて、医薬品流通改善ガイドライン、医薬品業界全体、長年の課題であったこの問題は、厚生労働省が主導となり、2018年4月からその解決に向けた取り組みがスタートしました。
2000年代に入り、製薬企業、医薬品卸、そして薬局、病院等の医療機関それぞれの関係性もあり、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(流改懇)で解決できなかった問題を解決するための施策です。
医薬品流通における課題とは?
薬局等の医療機関では医薬品卸への価格交渉つまり値引き交渉を行い、少しでも薬価差を得ようとします。交渉といっても一対一の交渉ではなく、複数ある医薬品卸で競合させ価格交渉を行います。
医薬品業界全体の経営環境が良かった時代ではそれも大きな問題とはなっていませんでした。
医薬品関連企業の環境の変化による影響
しかし2000年代に入り製薬企業の経営環境が徐々に悪化していく中、高く売りたい製薬企業と安く買いたい薬局、その中間に立っている医薬品卸に大きなしわ寄せが来ることになります。
卸売業全体で見ても売上高は常に上位にランクインする医薬品卸ですが、その利益率は極めて低く、過去幾度となく、医薬品卸売業の再編が多く行われてきました。それでもまだ医薬品卸は厳しい経営環境に立たされています。
未妥結減算とは
流通改善ガイドライン(医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン)を説明する上では、さらに理解しておく必要のある状況が存在します。
そのキーワードは「未妥結減算」であって、これは2014年度の診療報酬改定から導入されたルールです。
薬局では薬局ごとに、調剤報酬改定時に厚生局に報告する必要があるものの「未妥結減算て聞いことあるけど結局なんだ?経営者じゃないからよく分からない」と言う方が多いのもまた肌身に感じるところです。
未妥結減算とは、『薬価』は医薬品の納入価の調査によって薬価改定されていきますが、その価格が薬局と医薬品卸の間で決まって(妥結されて)いないと、その調査の信頼性が損なわれるため、妥結率50%以下の場合に調剤基本料、そして診療機関であれば初診料・再診料を引き下げるというルールです。
「いやいや、伝票には納入価格が書いてあるから決まってるでしょう」とはいかないのが複雑なところでです。
モノの売り買いにおいてはかなり特殊ともいえる事ですが、医薬品卸が薬局等への医薬品販売において、“仮”の価格のまま商品が“仮”納入され、その後に価格交渉を行うという商慣行があるのです。
医薬品卸への過度な負担
上記のように、厳しい医薬品卸売業の経営環境と、それに付随する実勢価格調査への支障、そしてその事を長年に渡り解決できなかったこの問題。
厚生労働省が解決を図るための流通改善ガイドラインでは、製薬企業、医薬品卸、薬局間における複雑で、様々な商取引についての指針が示されていますが、医薬品卸と薬局の取引の中では遵守する事項として、おおむね下記の問題解決が図られます。
・早期妥結と単品単価契約の推進
・年間契約等のより長期の契約を基本とする
・医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉の是正
特に問題となっている値引き交渉においては、医薬品の安定供給や流通コストを無視した値引き交渉を慎むように注意喚起されています。
ガイドラインが守られていない場合は厚生労働省に「相談窓口」が設置されており、その内容を公表や、指導を行う事もあります。
企業と企業との売り買いにおいて、厚生労働省つまり国がガイドラインまで策定、そして指導まで行う事態となっている事は、それほど薬価制度の信頼性にこれまでとても大きな問題が存在していたという事です。
もちろん私自身、薬局で働く身としては、出来る限りの値引きを求めたいと思う事は事実ですが、そういった考えが、医薬品業界全体に小さくはない歪みを長年に渡り生じさせてきました。
医薬品産業全体の発展のために必要な事
ネットで安い買い物をするにしても「送料無料」が当たり前だった時代、運送業は疲弊してしまいましたが、それも少しずつ改善してきました。
しかしそれでも今なお、私を含む消費者が「送料無料」を求めてしまう事は単なる私利私欲であって、健全なものとはとても言えないでしょう。
それと同じように、医薬品という医療の核となる商品の流通が崩壊してしまっては、元も子もありません。
保険薬局の経営環境が悪化する中で厳しい部分もありますが、ミクロの視点とマクロの視点を考えたとき、流通改善ガイドラインを遵守すること。
これは、医薬品を取り扱う業界全体が今後も安定性を保ち続けるためのものであり、そこで働くみなが理解しなければならない事なのです。
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